業務効率化の基本:ムダ取りと5Sで職場力アップ

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中小企業診断士の坂井です。

業務効率化を進めたいと考えている中小企業の経営者や現場責任者の方は多いでしょう。実際、中小企業庁の調査では、約8割の中小企業が何らかの業務効率化に取り組んでいるという結果もあります。

しかし、「効率化といっても何から始めれば良いのか分からない」「費用や手間がかかりそうで躊躇してしまう」という声も多く耳にします。そんな中、最も取り組みやすく効果が出やすいのが、現場の「ムダ取り」と5Sの徹底です。

本記事では、生産性向上の基本である「ムダ取り」と「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」について、中小企業がすぐに実践できる具体例を交えて解説します。

1. 生産性向上の第一歩は「ムダ取り」から

業務の中には、意識しないと気づきにくい多くの「ムダ」が隠れています。代表的なムダには以下のようなものがあります。

  • 作業のムダ(不要な手間、動き)
  • 在庫のムダ(過剰在庫や欠品による機会損失)
  • 待ち時間のムダ(指示待ちや作業待ち)

これらのムダを取り除くことが、生産性向上の第一歩です。現場の業務を徹底的に見直すことで、業務効率化の糸口が見えてきます。

2. ムダを見つけて取り除く具体例

では、具体的にどのようにムダを見つけ、排除するのか、実例を交えて見ていきましょう。

2-1. 作業動線を見直して効率アップ

ある製造業の企業では、作業員が必要な部品を取りに行くために頻繁に現場を往復していました。そこで、「よく使う部品を作業台の近くに配置する」というシンプルな改善を行った結果、作業者の移動時間が半分以下になり、生産効率が約20%向上しました。

2-2. 在庫管理の見直しでコスト削減

小売業のA社では、販売予測を行わず感覚的に仕入れを行っていたため、過剰在庫や欠品による機会損失が頻繁に発生していました。在庫管理の棚卸と、過去の販売実績に基づく発注基準を明確に設定したところ、在庫量が適正化され、約15%の在庫コスト削減につながりました。

このように、ちょっとした工夫で大きな効果が生まれます。

3. 生産性向上の強力な武器「5S」とは?

「5S」とは以下の5つの要素の頭文字をとった言葉です。

  • 整理(Seiri):必要なものと不要なものを分け、不要なものを処分する
  • 整頓(Seiton):必要なものを決められた場所に配置し、いつでもすぐに取り出せる状態にする
  • 清掃(Seisou):職場を清潔に保ち、問題点を見つけやすくする
  • 清潔(Seiketsu):整理・整頓・清掃の状態を維持する仕組みを作る
  • しつけ(Shitsuke):決められたルールを徹底し、習慣化する

5Sを実践すると、業務が効率的になるだけでなく、安全性の向上や従業員のモチベーションアップにもつながります。

4. 中小企業がすぐに実践できる「5S」の具体例

それでは、具体的な実践方法を事例とともにご紹介します。

4-1. 整理(不要物を徹底排除)

製造業のB社では、使われなくなった工具や部品が現場に置きっぱなしになり作業スペースを圧迫していました。「使っていないものは処分」を徹底し、工具や部品を最小限に整理したことで、作業スペースが広くなり、生産性が約10%アップしました。

4-2. 整頓(取り出しやすい配置)

物流業のC社では、出荷作業時に商品を探す時間がかかりすぎていました。倉庫内の商品を棚に明確に表示し、配置場所を統一したことで、ピッキング時間が約30%短縮されました。

4-3. 清掃(問題点の早期発見)

飲食店D社では、店舗の清掃を定期的に行う習慣がなかったため、設備トラブルに気づかず大きな修理費用がかかることがありました。日々の清掃を徹底することで、設備の異常や劣化を早期に発見できるようになり、修理コストが年間20%削減されました。

4-4. 清潔・しつけ(ルール化・習慣化)

自動車整備業のE社では、工具の置き場所や清掃頻度をマニュアル化し、社員が定期的にチェックする仕組みを導入しました。その結果、社員一人ひとりがルールを習慣化するようになり、工具の紛失や作業ミスが減少。顧客クレームも半減しました。

5. 5S・ムダ取りを成功させる3つのポイント

ムダ取りや5Sを効果的に進めるためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。

5-1. 現場の意見を重視する

トップダウンだけで進めると、現場の協力が得にくくなります。現場スタッフの意見を積極的に聞き、共に改善策を考えることで定着しやすくなります。

5-2. 継続的な取り組みを行う

ムダ取りや5Sは、一度やって終わりではありません。継続的に改善を繰り返し、定期的に現状チェックを行うことで効果が持続します。

5-3. 小さな成功を積み重ねる

一気に全てを変えようとせず、まずは小さな改善から始めて成功体験を積み重ねることで、社員のモチベーションが向上します。

6. まとめ:小さな工夫で「職場力」をアップさせる

「ムダ取り」と「5S」は、特別な投資が必要なわけではありません。日常の小さな工夫と継続的な改善があれば、現場の生産性は劇的に向上します。

  • 作業動線の改善や在庫の適正管理などでムダを削減
  • 整理・整頓・清掃・清潔・しつけを習慣化することで、生産性と品質を向上
  • 社員参加型で進め、小さな改善を積み重ねることが成功のカギ

中小企業診断士として、私たちは現場視点でのムダ取りや5Sの導入支援を行っています。「具体的にどう始めれば良いかわからない」「自社に合った取り組みを知りたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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