中小企業診断士の坂井です。今回は中小企業のウェブサイトのKPI(Key Performance Indicator)の設定について考えてみたいと思います。
いきなり難しい横文字が出て来たなぁという方も、なんとなく知ってはいるけど具体的にどうしたらいいのか分からない、はたまた設定したけれど全然達成できない方も、一緒に考えて行っていただければと思います。
このページの目次
中小企業サイトのKPIを考える
そもそもKPIとは?
Key Performance Indicator, 重要業績指標という横文字にしても日本語にしても難しい言葉が並んでいます。敢えて簡単に訳し直すとしたら、「事業のキーの数値目標」みたいな感じでしょうか。重要とか言わずにキーと大人しくカタカナ語にした方がソフトですね。
KPI自体は、KGI(Key Goal Indicator – 重要目標達成指標。シンプルに今期の目標みたいなものです)を達成する前段階の行動指標であるとされます。ただ、このKPI, やたらコムズカシイ訳語が原因なのか、KGIの手前の行動というふんわりとした定義が原因なのか、はたまた別が原因なのか、使われ方が会社や文献によって分かれています。いわく、
- 一つの事業にKPIは一つであるべきだ
- いや、ダッシュボードで全てが把握できるように、沢山あるべきだ
- とりあえずバランススコアカードの4種であるべきだ
と、KPIを1つにするか、複数にするかの議論があります。また、
- KPIは全てコントロール下にある数値であるべきだ
- いやアクションプランがコントロール可能なのだから、不確定要素が入っていてもいい
とか、数値を何にするかについても議論があります。全てコントロール可能かどうか、については少し分かりにくいので補足しますと、「1日に営業電話を10件かける」は、(よほどの事がない限りほぼ)コントロール下にあります。一方で、「アポを毎日1件とる」は、電話をかける相手にもよりますし、売る製品(開発や企画)にもよります。よってKPIとして不適切であるとする向きもあります。
しかし、営業部門のKGIであれば恐らく売上高となるでしょうから、「アポを毎日1件とる」というのはKPIとして適切であるという見方もできます。
アクションプランの説明が遅れましたが、アクションプランはKPIを達成する具体的な行動です。こちらは、5W1Hなど、人間が即行動できる尺度であることが望ましいとされます。KPIを達成するための、行動を分解したものとなります。
「アポを1件とる」ために、「休眠顧客のリストに、新商品についての紹介の営業電話を10件かけ」たり、「新商品の電話での説明のロールプレイを上司と週に30分練習」したりするというのが、アクションプランとなります。具体的になりましたね。そう考えると、「営業電話を10件」というのは、具体性がないため、アクションプランとしては不足気味なので、KPIの段階と言えるでしょうか。
また、KPIをプロセスKPIといったり、KGIをストラテジー(戦略)KPIと表現したりもします。このストラテジーKPIは営業部であれば今期の目標売上高のように、KGIとなりうるものですが、会社全体でみれば、営業利益や純利益の方が重要であることも多いです。そうなると、本当のKGIは利益額となるので、部署単位のKGIをストラテジーKPIと呼び直したりするわけですね。
そういうわけで、会社の規模や考え方、また同じ会社であっても立ち位置によって変わるため、「正解はこうである」と言うのが難しい指標であるということはお分かりいただけたかと思います。
ただし、KPIを設定する上では、守りたいルール、SMARTがあります。これは、
- S(Specific 具体性):何を示した数値であるか、具体的であること。
- M(Measurable 測定可能性): 測定できる数値であること。
- A(Achievable 達成可能性): 達成可能である数値であること。
- R(Realistic 現実性): 現実的に可能であること。Aと関連が深いため、Relevant(関連性)として、上位目標との関連を挙げる例もある
- T(Time-bound 有期性): 期間の定めがあること。
の特徴を備えている必要があります。以下のような目標は、SMARTではないと言えるでしょう。
- 今期の顧客の幸福度10%アップ!(幸福度とは具体的になんでしょうか? また測定できますか?)
- 今期のミスゼロ運動(達成可能でしょうか? また、運動とつけることで、測定可能な目標とは言えないかもしれません)
- 電話は必ず1コールでとる!(全員が電話中だった場合、現実的ではありません)
- 売上日本一を目指す(いつまででしょうか)
このように、SMARTでない目標は、冷静に見るとつい指摘したくなる特徴があります。しかし、いかがでしょうか。会社で「目標を立てよう!」というと、ついやってしまいがちな目標ではないでしょうか? このようなよくない目標は、従業員の意欲低下にもつながる(どうせ実現できずに評価が下がるのであれば、最初から頑張らない方がマシというものでしょう?)のでホームページ運営だけでなく、避けるようにしましょう。
肝心の、企業のホームページではどんなKPIがいいの?
1つの95%コントロール可能なKPI
筆者がお勧めする中小企業のウェブサイト(コーポレートサイトも、ECサイトも)でお勧めするKPIは95%くらい行動だけで決定され、1つだけに設定することです。言い換えれば、たった1つの、具体的で達成可能な数値目標を設定しましょう。ということです。期間は、最初は1週間~1ヶ月くらいにするといいでしょう。大きな企業では四半期を目標とする場合もあると思いますが、経営資源をホームページの管理だけに集中しづらい中小企業では難しいと思います。
95%くらいコントロール可能というのは、「不慮の事故が発生しなければ」、という程度の意味です。担当者が体調不良だったり、会社全体が忙しかったりした場合には達成が難しい程度にしておきます。逆に、少しだけ忙しい・何かしらが原因でパフォーマンスが落ちている日がある、くらいでは達成可能な方が望ましいですし、期間中ずっとフルコミットが必要な数値も避けた方がいいでしょう。楽過ぎるとやりがいがないですし、きつすぎると燃え尽きてしまいます。
何故このようにコントロール可能なことにこだわるかというと、ウェブサイトの成果というものは外的要因に非常に大きく左右されるためです。SNS上のなにげないインフルエンサーの投稿一つで、インターネットで検索されるキーワードが急に変化するということはしょっちゅうです。また、通常、インターネットからホームページへの流入はGoogleなどの検索エンジン経由が主流ですが、この検索エンジンにインデックスされる(検索のために登録される)かどうか、その時期やタイミングも外的要因です。
特に新しくウェブサイトを立ち上げたときというのは、インターネット上で見れば海のものとも山のものともつかぬ状態です。つまり100年続く老舗でも創業したての個人店でも等しく信頼度が低く、検索されづらい状態にあります。そういう状態で、外的要因が大きな目標を掲げるのは、現実的(Realistic)ではありません。
こういった理由で、1つだけの目標をコツコツ積み上げていくのがポイントです。
アクションプランは、毎日チェックシートにチェックできるようなもの
アクションプランは、KPI達成のために必要な具体的な行動を分解したものにします。最も基本的なことは、「毎日、コンテンツ管理システムやECシステムのダッシュボード(管理画面)を開く」というものが挙げられます。
仕事なんだから当たり前ではありますが、目標がなく、成果も上がらない状態ではこの「ダッシュボードを開く」ことさえ、億劫になってしまうものです。管理側も、KPIが行動でコントロールできないものであれば、余りきつく言えない面も出てくるでしょう。そこで、「ダッシュボードを開いて毎日何かをする」ことの先にKPIがあるのが理想です。
場合によっては、ダッシュボードではなく、Microsoft WordやExcelで作業する場合もあるとは思いますが、そんな場合は「アプリケーションを開いて、該当するファイルの編集を開始する」までを具体的なアクションプランとして設定するといいでしょう。というのも、アプリケーションを開いて、全然別の作業をしているだけでは意味がありませんからね。
アクションプランは、5W1Hがはっきりしているといいとされますが、When(いつ)やるかは決めづらい面もあるかもしれません。その場合はざっくり、「午前中」や「午後」としてもいいでしょう。または「通常の業務時間中」とするのもお勧めです。というのも、中小企業では専任のウェブ担当者を設定することが難しい場合もあります。そうすると、それまでやっていた業務をついついやってしまって……とか、同僚の目を気にして……とかいった理由で、残業時間や始業前に無理してアクションプランを実行し、KPIを達成しようとする可能性が出て来ます。
ワークライフバランスや働き方改革が重視される現代において、そのような事態は避ける必要があります。そのために、時間ははっきりとはしないけれど業務時間内にすることで暫定的な対処ができます(その場合こそ、何時~何時は必ず、ホームページの業務をする、とタイムブロックを組むことをお勧めしますが)。
具体的なKPI設定とアクションプランを考える
当サイトの場合
「偉そうなことを言っている、診断士の先生はどうなの?」
というところがあるでしょう。まずはKGI, KPIとアクションプランを確認していきます。
- KGI: 1月に1件、ご相談を受ける
- KPI: 月に8本、新規記事を公開する
- アクションプラン
- 毎日WordPressのダッシュボードにログインする
- 毎日、朝活時間に15分~90分記事の執筆を行う
- 毎日、朝活時間に15分~30分の勉強をする
- 毎日、終業後に15分~30分、経済ニュース、新刊本、本の紹介をチェックする
- 毎日、運動時間中に経済ニュースの動画を見る
このサイトは、2023年10月現在、立ち上げたばかりのウェブサイトです。ただし、ドメイン(kske.info)は以前、ウェブデザイナー/エンジニアとして活動していたときのものを利用しているので、検索エンジンからの信用度は完全な新規サイトではありません(ただし、このような目的のために中古のドメインを高額で売買することはお勧めしません)。
このKPIとアクションプランは、経営者自身がウェブサイトの管理を実行する場合のモデルケースとして使えると思います(というか、そのように設定しています)。
従業員が担当する場合は、業務時間内に実行する必要があるため、執筆活動は「朝活時間」ではなく、10時~11時のようにタイムブロックを区切るといいでしょう。ちなみに、記事を書くのは頭を使うので朝の時間帯がお勧めです。
1, 2以外は「記事のネタ探し」となります。コンテンツを作成する場合、きついのが「ネタ切れ」です。この記事の場合、PMPの勉強をしているときに「KPIの話が出て来たから、KPIの話でもしようかな……」といった感じで、ニュースや勉強の内容からネタをひねり出しています。
従業員の場合はそうも行かないので、「月曜日は営業部の週報を見る」「火曜日は製造部の週報を見る」、あるいは会議に出席するというのでもいいかもしれません。
会議の出席などは定常業務であり、「アクションプランに設定する必要はないのでは?」と思うかもしれません。しかし、ぼーっとしているのと「ネタを探してやる!」のとでは、同じ話題であっても意識への残り方、入り方が異なります。そのため、アクションプランとして明確に設定することをお勧めします。
もし、ネタ出しのアクションプランが思い浮かばない場合、複数人で集まってブレーンストーミングでアイデア出しをするといいでしょう。ネタそのものを出すブレーンストーミングを定期開催してもいいですし、会社内のどこに「ネタ」がありそうか、アイデアの種のアイデアを出し合う会議でもいいでしょう。
ECサイトの場合
ECサイトの場合、店舗運営となるので比較的簡単になります。
- KGI: 1ヶ月にxx万円売上を上げる
- KPI: 月に20商品、新商品を登録する
- アクションプラン
- 毎日、ECのダッシュボードにログインする
- 毎日、9:30~12:00までEC商品の登録作業を行う
- 毎日、13:00~15:00まで商品の撮影作業を行う
- 毎朝、朝礼で店舗の販売状況を聞く
- 毎週火曜日、販売会議に出る
といったような形になります。
新規記事や新商品の登録を重視する理由
紹介した2パターンは、主に立ち上げ期を意識しています。しかし、できるだけ長い期間、このような「新規」登録に労力を傾けることをお勧めしています。
SEOに効果がある(と見込まれている)から
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、日本語では検索エンジン最適化と訳されます。よく、SEO対策などと「対策」とセットで語られますね。筆者は通常、SEOに費用をかけることはお勧めしていません。また、自社でもそれだけのために多大な労力をかける必要はないと考えています。理由は、
- 専門的な知識が必要だから
- いいSEO(ホワイトハット)と悪いSEO(ブラックハット)があり、裏目に出ることがあるから
- CMSやECサイト任せでもそこそこの効果がでるから
一言で言うと、それだけにコストをかけるには費用対効果があまりにも悪いからです。実際、専門的な知識を持ち、高度な分析能力で成果をあげている専門の会社さんも存在しています。ただ、それでも効果が出るまでに時間がかかりますし、費用も高額です。
一方で、CMSやECなどのシステムは、余程ひどいものを使わなければ、基本的なSEO対策(HTMLの最適化、内部リンクなど)が実施されています。基本的なSEO対策が実施されたページは基本的には増えれば増えるほど検索エンジンに評価されやすくなります。また、検索される可能性のあるページ・ワードが増えます。そのため、SEOで費用対効果が最も高い行為というのが、「適切なシステムを使ってコンテンツを制作する」ということです。
ただし、ただページが増えればいいというわけではなく、「オリジナリティがあって」「見た人の役に立つ」情報であることが必要です。他のサイトからコピー&ペーストしてきたようなコンテンツでは、評価されることはあまりありません。また、AIで出力された内容そのままも一般論に偏りがちなので、自分たちならではの視点・意見を加えるといいでしょう。
ロングテールを狙えるから
SEOと近い発想ですが、こちらはなかなか思いつかない「ニッチな」需要を狙います。例えばこのページで言えば、「KPI設定」という大きなキーワードではなく、「中小企業の」「ウェブサイトの」KPI設定と、かなりニッチな需要だと思います(笑)。
ただ、特にECでは店舗面積などのなんともしがたい事情により、展示できる商品に限りがあります。限りある面積を限界まで活用しようとすると、今度はほしい商品を見つけられないということになりかねません。
しかしインターネット検索であれば、ほしい商品を検索することで普段めったに売れず、実店舗で購入しようと思ったらメーカー取り寄せをしないといけない……というような商品も販売することができます。このように、売れ筋以外の商品をロングテール(グラフが巨大な草食恐竜のように頭が高く、尻尾が低く長く伸びていることから)と呼びます。
また、ロングテールと思っていたものが、意外にも爆発的なヒットをするという場合もあります。AmazonがEC分野で大きく成長した要因はこのロングテールにあると言われています。
そのような理由から、とりあえず沢山掲載してみることをお勧めしています。
経験とデータを蓄積できるから
ウェブサイトの素晴らしい点は、ノーコストで実店舗では実現できないような詳細な訪問者の分析が可能なことです。費用をかければ、個人レベルでどう行動しているか? までほぼ分かる様になってしまいます(もっとも、この点は明らかにやりすぎで各国で規制強化されていますが)。
しかし、データ分析に詳しくない人がこのデータに触れても「数字が多くてよく分からない」「なんか数字が上下しているやばい!」となってしまいます。例えばアクセス数(来客数)や売上などは、一般の店舗と同様に1週間の中でも曜日によって大きく変動します。また月、季節によっても変動します(このような現象を、季節性があると表現します)。
このように様々な外的要因で変化する数値を冷静に見ることは、始めたばかりには厳しいものです。経験豊富であっても、季節性があるのかないのか、長期的にどのようなトレンド(傾向)があるのか、といったことはデータが出揃うまで断言することはできません。
新規サイト1ヶ月で言える事と言えば、検索エンジンに順調にインデックスされているか、アクセスの1週間内での傾向(季節性)がどうか、といったことくらいです。
そのため、最初からアクセス解析などのソリューションを導入することはもちろんいいことですが、それはデータの蓄積のためと割りきって、「将来の改善のためにデータを集めるため」にも色々なページや商品を測定の対象として提出することが重要になります。
心配しなくても、いつかはアクセスのデータなどの数値と格闘しなければいけない日がやってきます。
それでもネタが切れたときのKPI設定について
残念ながら、いつかは新しい記事を掲載するネタが全く出てこない日がやってきます。また、登録できる商品がなくなる日も来るでしょう。完全にゼロにならなくても、労力に見合わないと感じるようになり始める時期が来ます。
そうなったら、記事や商品ページのリライト・リファインをKPIに設定し、アクションプランも見直すといいでしょう。
リライト・リファインについて
簡単に言うと、「書き直し」「改善」です。過去に書いた記事や商品ページは後から見返すとイマイチだったりすることがあるものです。
そういう記事の改善を実施して、更なるアクセスの向上や商品の売上、問い合わせを獲得することが目的になります。
リライト・リファインの対象について
大きく分けて、2パターン考えられます。
- 内容が古くなった
- 品質を改善する
内容が古くなったことについて、例えば日々の記録であれば特に問題ないでしょう。例えば、2022年のイベント開催の記録は、そのまま残しておいて、2023年にも開催する場合には新しく記事を書き起こした方がいいでしょう。とはいえ、万全を期すのであれば、2022年の記事から2023年の記事に「リンク」を設定しておくとよりベターかもしれません。
「年末感謝際2022年のお知らせ!」というページの先頭に「2023年の感謝際のお知らせ」へのリンクを掲載しておけば、検索や、古いイベントページからたどりついた人でも迷わず最新の情報にアクセス出来て便利です。
それとは別に、例えば今読んでいただいているこの記事のように、書いている人の考えが変わったり、環境が変わったりしたときに編集が必要な場合があります。本稿の場合は、KPI設定は大きく変更は起きない、普遍的な内容と言えます。しかし、SEOに関する記述は古くなる可能性があります。その場合は、該当部分に注釈を入れて、(2023年10月6日更新)などとして記事を最新の内容に変更すると親切です。
もう一つが、品質の改善です。
こちらは、記載されている内容が普遍的であっても改めて見ると「説明が不足しているな」とか「もっと詳しく説明したいな」とかいった考えが浮かんでくる場合があります。それとは別に、もっと直接的な原因で、「このページに書かれている内容で、よく分からないという問い合わせが多い」という場合には、説明を詳しく記載する場合があります。
また、5年、10年の長期にわたってウェブサイトの運営をしていると、ホームページを閲覧するハードウェア(PCやスマホ)、回線(5G回線やWi-Fi, 光回線)が進化・変化する場合があります。例えば2000年代では、スマホ向けなどはなく、フィーチャーフォン向けのサイトを、PCサイトとは別に(ハードウェアがまだまだ弱かったため、同じページは表示できませんでした)用意していました。また、PCでも回線や液晶も今ほど高品質ではなかったため、画像のサイズも小さいサイズが好まれていました。
しかし現在では、回線は非常に高速になり、液晶画面は高精細・大画面化が進んでいます。2000年代はおろか、2010年代前半のままの画像サイズでは、「小さいし画像サイズが荒いし、よく分からない」と判断されてしまう恐れがあります。ECサイトでは、購買率に直結してしまいます。
そのような場合には、新しいデジタルカメラで撮影した画像などに画像を差し替え、大きさも変更するといいでしょう。
このような、リライト、リファインの要望は掲載している内容にもよるため、一概に「こうすることがいい」とは言えません。しかし、ある程度運営したウェブサイトでは避けて通れない部分となりますので、目標に追加するといいでしょう。
リライトとリファイン、新規追加を同時にKPI設定するのか?
ウェブサイト運営のKPIは基本的に1つがいいと最初にご説明しました。しかし、リライト・リファインも行い出した場合は、どうするといいでしょう?
筆者のお勧めは、期間を区切って「リライト・リファイン」の時期、「新規ページの時期」で、やはり期間中のKPIは一つに絞ります。あるいは、担当者を分けて、リライト・リファイン担当の人と、新規ページの人でKPIを分けて設定する(5W1Hのwhoを設定)という考え方もあります。
何故かというと、リライトと新規ページ作成では、考え方、取り組み方が異なるからです。KPIの期間設定にもよりますが、「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」とアクションプランが増えてしまうよりは、期間をある程度細かく区切っても、1つのことに集中した方がいい結果が出やすいからです。
まとめ
- KPIとは重要業績指標と訳される、目標を管理する数値目標
- KPIはSMARTな数値であることが望ましい
- KPIは達成するためのアクションプランに分割できるものがいい
- KPIを達成した先に企業運営の重要目標であるKGIがある
- ウェブサイトのKPIは1つがいい
- ウェブサイトのKPIはほぼコントロール可能なものがいい
今回は、中小企業がウェブサイトを管理する場合においての、KPI設定について考えました。本文中でも述べた通り、KPIをどう設定するかというか? という部分からすでに議論の余地があります。それは、全ての企業において有効なKPI設定の考え方がまだ見いだされていないからとも言えます。
また、数値目標を設定することについて、特に規模の小さな企業では及び腰になってしまうケースもあります。確かに誰が見ても明らかな数値の達成/未達成というのは従業員にある程度のプレッシャーを与えるものではあります。しかしながら、プレッシャーというのは悪い面ばかりではなく、やる気を引き出すためにも重要な要素でもあります。それに、目標がなかったのにいきなり「会社の業績が悪かった」と怒られる方が従業員側からすると理不尽であり、不満足につながります。
是非、ウェブサイトの管理運営からでも、適切なKPIを設定しようと経営者が「頑張る」ところからスタートしてみてください。
カバー画像:UnsplashのAfif Ramdhasumaが撮影した写真